2023年2月19日、神戸市長田区でキャンナス新長田が発会しました。長田区は阪神淡路大震災で大きな被害を受けた地域です。いてもたってもいられずに現場にボランティアに駆けつけたことが、訪問ボランティアナースの会を始めるきかっけになったと菅原代表は振り返っています。会場となったふたば学舎は、避難所にもなった小学校で、現在は市民活動への参加支援の拠点、震災体験学習なども行われています。156番目。代表の青木容子さんは、長田の地でキャンナスを立ち上げることについて、「背筋の伸びる思い」と話しています。活動を通じてゆかりのあるナースや、発会希望のナースも3人、駆けつけ賑やかな会となりました。青木代表はキャンナスを通じて、患者さんやご家族の笑顔を増やすとともに、NICD(意識障害・寝たきり患者への生活行動回復看護)を広めていきたいと思いを語っています。以下の紹介します。
患者さんとそのご家族の笑顔を引き出す看護を実践したい
ここ長田は阪神淡路大震災で菅原代表が活躍された場所です。キャンナスの原点ともいえる、ここ長田の地でキャンナスの活動をはじめられることに背筋が伸びる思いです。
私のモットーは「患者さんとそのご家族の笑顔を引き出す看護」で、この言葉は看護学校時代の恩師から頂いたものです。どんな苦しみがあるときでも、笑うことでふっと力が抜けて、体が緩みますますよね。これまでそんな一瞬を目指して看護を行ってきました。
訪問看護に従事しているとき出会ったのが、NICD:意識障害・寝たきり(廃用症候群)患者への生活行動回復看護です。それまで、脳血管障害による重度の後遺症や加齢により長期の寝たきり生活を送られている利用者さんへの看護は、合併症の予防に努め現状維持を目標にしたものでした。NICDを学んだことで、人が持つ力の可能性についてより深く考えるようになりました。
「寝たきりだからもう仕方がない」ではなく、より安楽に過ごしていただけるようにケアすることで、利用者さんやご家族の笑顔が増やすことができます。しかし残念ながらNICDは看護師にも広く知られているとは言えません。NICDは特別なものではなく、ナイチンゲールが唱えた患者の回復力を助けるための看護実践だと私は考えています。
拘縮で硬く握られていた手が少し開いたり、長く言葉が発せなかった方の声が聞けるようになったりすることは、些細な変化かも知れませんがご本人やご家族にとっては大きな変化であり、喜びです。キャンナスの活動を通じて、痒いところに手が届く活動からこれまで以上に患者さんとそのご家族の笑顔を引き出す看護を実践したいです。同時に、NICDをより多くの方に知っていただきたいと考えています。どうぞよろしくお願いします。
(キャンナス新長田 青木容子代表)