月刊ケアマネジメント 2003年 10月 VOL.14 |
トピックスA 第4回湘南在宅セミナーを開催 −口から食べることの重要性を地域に訴えるー |
訪問ボランティアナースの会キャンナスは、地域で在宅介護を行う家族やそれを支える福祉・医療スタッフ向けにセミナーを行ってきた。8月17日に藤沢市で開いた今回は、口から食べることの重要性がテーマになった。 はじめにキャンナス代表の菅原由美氏があいさつし、「自分らしく生活をしたいと思うから患者さんは家でケアを受けるのです。食べる意欲をなくしてしまっている高齢者でも、本当は好物があってそれをおいしく食べたいと思っているのに違いありません。ADLやQOLの向上を目的とする私たちは自分の口で食べることの可能性を考え、患者さんの望みがかなえられるよう努力する必要があるのです」と、今回のセミナー開催の意義を述べた。 講演では、三好春樹氏が「まず、嚥下反射がなく食べられないのか、あるいは食べられるのに食べないのかといったアセスメントをきちんとすることが大切。その上でなぜ食べないのかを考えること」と身体機能の面から、口から食べる可能性について触れた。 口から食べられるためにはきたんと合った入れ歯含め、その人の口が”食べられる口”でなければならない。続く講演で加藤武彦氏は、脳梗塞で入院したときの自らの経験を交えながら、食べることはいかに脳のいろいろな部分を使っているかを解説。「目で見て匂いを感じ、口に入れて、咀嚼して、飲み込む。この一連の動作ができればその人のADLはかなりあるといえ、逆にそれをあきらめてしまうと機能低下ばかりでなく、免疫力まで低下させてしまう」と説明した。 後半のパネルディスカッションでは、最近症例が増えている胃ろうについて議論を深めた。胃ろうのメリットとして、@脱水や栄養不足を防ぐ、A介護者の食事介助負担軽減、B経管栄養に比べ抑制の必要がない、C誤嚥性肺炎の減少などがあげられる。逆にデメリットとしては、@口から食べることによる前述のメリットがなくなる、A痴呆性高齢者の場合はチューブを抜いてしまうので管理が難しい点などをあげた。 |